成人発達理論と研修効果の関係
成人発達理論では、ON‐JTによる経験も、OFF‐JTによる経験も、
共に「点」の経験にすぎないので、「行動変容」にはどちらも関係がないといいます。
「点」という経験が無数に存在し、やがて一部がくっついて「線」になります。
その「線」が複数存在し、やがて一部が「面」になり、「立体」になっていきます。
「立体」になって初めて行動変容が促される、というのが成人発達理論の考え方です。
ですので、研修という経験やOJTで得た「点」が、
たまたま最後の立体になる「点」(最後のパーツ)であれば、
大きく行動変容することができます。
ですが、「点・線・面」がまだ構成されていない人に研修を実施しても、
ただ1つの「点」が追加されるにすぎないのです。
「立体」にならないので、行動変容にはつながりにくい、ということになります。
この考え方は、プロセスワークという心理学でも、同様のことを言っています。
こちらは、山に例えていて、その人がA山の頂にいる場合、
何をどう促しても、隣のB山には行かない(行動変容しない)。
自分の意志で、A山のふもとまでおりていれば、隣のB山まで誘導できる(行動変容する)。
ただ、隣のB山まで誘導しても、もとのA山に戻る傾向があるから注意しましょう。
という表現を使っています。
キーとなる前提条件は、「線や面」ができている、
もしくは、「山のふもとまでおりている」というになります。
そのため、1~2日の研修で「行動変容」までは難しいことです。
ですが、ここからできることを考えると、
例えば、1つの研修は「点」として割り切ってもよいと思います。
理由は、これも成人発達理論ですが、ミクロ(1日の研修)の経験が、
マクロ(例えば3年後)では行動変容につながると、中長期スパンで考えるということです。
また、「点・線・面・立体」を形成するために、
3か月にわたるアクションラーニング形式にする。
また、研修で、上司に部下育成方法を伝授し、継続的に部下を育成する。
また、「狭く深い」タイプの研修にして、
「点」から一気に「立体」まで到達させるなど、方法はあるかと思います。
みなさまの現場では、どのようなしているでしょうか?
前提として、研修は「点」であることを認識して、研修体系を作成するとよいと思います。
個人的には、上司や先輩と研修のコラボ、現場で彼らの協力を得ることが最高と考えています。