研修で学んだことを現場で活用してもらうために

研修でのグループワークの効果を上げるには

今回は、「「糸巻き実験」と「フィールド実験」から、研修でのグループワークの効果を考察をします。
社会的促進実験として、トリプレットが行った「糸巻き実験」とザイアンスが行った「フィールド実験」があります。今回は、この2つ実験を紹介しながら、研修の文脈に落としていきます。
 
1.糸巻き実験
一人で糸をまく(魚釣りのリールをまくイメージ)のと、2人が並んで糸をまく、どちらが、能率的に巻くかという実験です。結果は、2人並んで巻くほうが能率的(スピードが速かった)だったというものです。
 
2.フィールド実験
ビリヤードを2人で遊びます。Aペアは上手同士、Bペアは下手同士です。そして、1回目はペアだけで実施して、2回目は近くで4人に観戦して実施しました。2回目の結果は、Aペアは成功率が9%上昇、Bペアは11%成功率が下降しました。「糸巻き実験」との違いは、単純作業ではないこと、観戦者がいることです。
 
▼研修の文脈への落とし込み
この実験を研修でのグループワークで考えてみます。研修では、ペアやグループでワークをして、理解度、納得度を相乗的に上ることをねらっています。しかし、「ビリヤード」と「ビジネススキル」が同じ作業だと仮定したら、ペアやグループワークは、逆効果になるグループがあるということです。実際に、ある研修では、Aペアになったようなグループがありました。1を伝えると5を理解して、参加者同士の相互フィードバックで、更に10の理解まで到達していたように見受けました。別のある研修では、Bペアのようなグループもありました。一人ひとりはそれなりに考えているのですが、みんなの意見をまとめられず、完成すらしないのです。
 
▼まとめ
そのため、講師は、Aペアのようなグループは介入頻度を落とす。その時間をBペアのグループへの介入頻度を高めるこのようなことをしていると思います。Bペアであっても「自分たちなりの変化でOK」というスタンスもありなのでしょうが、講師として介入頻度を高め、変化の度合いを高めてもらいたいと考えるからです。ただ、上記のような実験結果があることを知っていると、必要に応じて「個人ワーク」の時間を多くしたり、ペアを変えたり、発表の仕方(観戦者の増減)調整をしたりできます。