研修で学んだことを現場で活用してもらうために

倍返しから考える心の発達状況

半沢直樹のTVは、 小が大を喰うこと、その大が悪役に徹しており、
勧善懲悪の様相になっている点が 、
水戸黄門、遠山の金さんのようで楽しく見ています。
今回は、あのドラマを好きな人について、発達心理学と私の見解で紹介します。

▼まず、ヒトの心理の発達として、下記4段階があります。
1.自己万能感
子どものころ、ウルトラマンや仮面ライダー(男の子の場合)に
なりたかったように、なんでもできると考える。

2.自己無力感
自己万能感でブイブイ言わせていたが、
小学高学年か中学のころ、ふと、自分は大したことができない
(何もできない)と考える。

※その後の3つのパターン
・Aパターン:自己万能感(子ども)のころに、たくさん褒められた子どもは、
「心の安全基地」が構築され、自分にはできないこともあるが、
できることもあると考え、自己肯定感につながる礎を作る。
・Bパターン:自己万能感(子ども)のころに、褒められなかった子どもは、
自信が喪失し、自己無力感だけ(自分はこの程度だ…)となる。
このまま成人する人もいます。
・Cパターン:自己無力感を受け入れず、自己万能感にままでいる。
いわゆる、中二病と言われるものです。

3.自己肯定感
Aパターンが強化され、自分の良い点(できる点)を受け入れ、
嫌いな点(できない点)も許容する。
できる点にフォーカスしながらも、両方をひっくるめて自分を受け入れる。
自分で自分の嫌いな点を受け入れることができると、
他人の短所も認め、他人に本当に意味で優しくなれる。

一般的に、対象がヒトでもモノでも、長所と共に短所(弱点)を知ることで、
それを更に好きになります。
自分の会社も、いい点と悪い点がありますが、両方とも1つの会社です
配偶者も、いい点と悪い点がありますが、ひっくるめてその人です。
好きなスポーツチームも、悪い点を受け入れられると、
長期のフアンになります。
両方の点を知り、弱点を許容することで、全体を好きになります。
ホールネスという考え方です。

4.自己効力感
できないこともあるし、結果が伴わないこともあるけど大丈夫、
成功も失敗もあると考え、積極的に未知のことに挑戦する。
ちょっとやそっとでは、へこたれない、いわゆるグリッドです。
また、そのように挑戦している他人を応援し、支援する。

▼この4段階を踏まえて、「倍返し」を見て楽しいと思う人を考えます。
見ていて楽しいのは、半沢さん(他人)を自己に見立て、
自己万能感が満たされるからでしょうか?
もしくは、自己効力感を発揮している半沢さん(他人)を
応援しているのでしょうか?

あくまで私の推測ですが、楽しさの源泉は、
上記2通りに分かれるのかと考えています。
当然ですが、どちらが良い悪いではないです。
私のそばに、前者の人がいたら、その人の良い点をたくさん伝えたいし、
後者の人がいたら、その人が今挑戦していることを聞きたいです。

みなさんも、若手育成のする場合、若手の心の発達の4段階を想像して、
それに沿った育成手段を取ってみてください。

(追)半沢さんのライバルが、
実は、部下想い、家族思いという描写があったり、
「会社のためなら、私が汚れ役をやりますよ」なんて描写があったりしたら、
「倍返し!」のセリフも、少し意味合いが違ってくるのかなーと思っています。